研究課題/領域番号 |
15560632
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
酒井 潤一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90329095)
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研究分担者 |
中江 秀雄 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40164123)
石川 雄一 横浜国立大学, 留学生センター, 教授 (40334627)
横山 賢一 徳島大学, 歯学部, 助手 (80308262)
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キーワード | 腐食・防食 / 表面・界面制御 |
研究概要 |
(1)機械的複合作用:生体・口腔材料は使用中に、摩耗や応力、疲労などの機械的影響を受ける。これらの作用により、本来、不動態領域で使用され、極めて僅かしか腐食損傷を起こさないはずであるべきものが、機械的作用と化学的作用を同時に受けることにより、予想外の多大で制御不能な腐食損傷を被ることになる。本研究では、機械的作用と化学的作用が重畳した場合を考慮し、Tiのフレッティング腐食疲労挙動を検討した。腐食環境は電位で制御した。不働態皮膜の形成が容易となる貴側の電位域ではむしろ疲労寿命の短縮が認められた。皮膜破壊時の溶解が促進され寿命の低下につながったものと考えられる。 (2)環境の変動の定量化:口腔内治療に用いられるフッ素が腐食促進物質であることを明瞭にした。中性NaF溶液、酸性APF溶液に着目し、これらの濃度と腐食形態、水素吸収挙動を検討した。CP-TiはNaF溶液中で電位を卑化することにより水素吸収傾向が高まったが、6-4-Ti合金ではそのような傾向は認められなかった。が、酸性APF溶液では水素吸収傾向が高まった。表面に生成される皮膜の特性が影響していると考えられる。表面を硝酸皮膜生成あるいはNaOH浸漬皮膜生成処理をすると水素吸収の傾向が抑制される可能性があることを明らかにした。酸化剤として活性酸素の一種である過酸化水素に着目した。その強い酸化性のためTiおよびTi合金は局部腐食を起こす傾向を示した。この傾向はNi-Ti合金で顕著で、Niの優先溶解傾向が示唆された。 (3)不動態保持クライテリアの創出:0.2〜2%の範囲のAPF中での耐食性は溶液濃度に依存し、2%ではその腐食性は顕著になる。アノード分極曲線、カソード分極曲線ともに溶液濃度とともに加速される傾向を示した。表面生成皮膜も溶液濃度に依存し、次第にフレーク状となった。
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