研究概要 |
本研究の目的は、Fe-Nb二元合金およびNi-Nb合金の凝固挙動を過冷度と異質核生成現象の観点から調査することであり、本年度はFe-Nb合金について調査した。実験はアルミナるつぼとシリカるつぼ(ガラススラグ法で代用)を用いた。るつぼ内径は35mm、試料重量は150gである。試料はあらかじめ所定の組成に調整した合金を作製し、中心部に穴を開けて熱電対を挿入した。最高温度1823Kまで加熱し、その温度で1.8ks保持したのちに冷却を開始した。試料の組成は、Fe-Nb合金の場合は0.5、1.0、3.0、6.0mass%とし、比較のためにFe-0.1mass%C-Xmass%Nb(X=0.5、1.0、3.0、6.0)合金も調査した。凝固はAr雰囲気で行った。試料はすべて1623Kで急冷した。得られた結果および考察は以下のように纏められる。(1)アルミナるつぼを用いたFe-Nb合金の過冷度は1mass%で5K、0.5mass%、3mass%、6mass%では2.4K以下であった。Fe-C-Nb合金でもこの傾向は変わらず、1mass%で最大の6Kとなり、0.5mass%,3mass%では3K以下となった。過冷度の絶対値は小さいけれどもこの場合では炭化物の影響は見られないと考えられる。(2)シリカるつぼと同様な効果があると考えられるガラススラグ法で3mass%Nb合金の過冷度を調査した。その結果、Fe-3mass%Nb合金のみが過冷度が19Kと大きくなった。またFe-0.1mass%C-3mass%Nbも4.7Kとなり、アルミナるつぼよりも過冷度が大きくなった。これらのことから、Fe-Nb合金は酸化物が異質核生成基盤となり、炭化物の影響は少ないと考えられる。(3)急冷時での組織および相を調査した結果、過冷度が小さいことより、0.5および1mass%での結晶粒組織、3および6mass%での凝固組織は共に微細化しなかった。また現出相は全て平衡相であった。
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