研究概要 |
本研究は、鉄-ニオブ(Fe-Nb)二元合金およびニッケル-ニオブ(Ni-Nb)合金の異質核要因による過冷度への影響と凝固組織への影響について調査した。 アルミナるつぼと、ガラスでるつぼ内側を覆った二種類のるつぼを用いた。Fe-Nb系は最高温度1823K、Ni-Nb系は1773Kまで過熱し、その温度で60分間保持したのちに冷却を開始した。Fe-Nb合金は1723K、Ni-Nb系は1673Kで急冷し、凝固終了後の組織を凍結した。ニオブ濃度は0.5mass%から6mass%まで変化させた。また1mass%炭素を加えて三元系合金とした実験も行った。試料の凝固組織と結晶粒組織の観察およびNb濃度測定を行った。得られた結果は、以下のように纏められる。 (1)Fe-Nb合金は、2mass%Nb、Ni-Nb合金は1mass%でそれぞれ15K、80Kの最大過冷度となり、Nb濃度の増加と共に過冷度は減少した。またNi-Nb合金の方がFe-Nb合金よりも大きく過冷した。(2)ガラスでるつぼを覆うと、Fe-Nb合金、Ni-Nb合金共に過冷したが、Ni-Nb合金の方が最大120Kまで大きく過冷した。(3)炭素を入れた3元合金では、炭化物の形成で過冷度は減少した。ガラスで被覆されたるつぼを使っても、過冷度は減少したが、被覆しない場合よりも大きな過冷度となった。(4)デンドライト組織から結晶粒組織への形成過程は合金の溶媒で大きく異なった。Ni基では結晶粒形成、Fe基ではデンドライト形成がし易かった。以上のことから、異質核基盤として,るつぼ材質が最も大きく影響し、次いで溶湯内に形成される酸化物あるいは炭化物が核生成基盤となることが示された。従って酸化物を作りづらいNi基合金の方がFe基合金よりも過冷した。
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