研究概要 |
複合化鋳造法は鋳造を利用した異種部材接合、複合化の手法である。本研究は接合状態の事前検討に市販の鋳造用CAEツールである湯流れ凝固解析システムを利用し、形状設計および鋳造方案の最適化をはかり、複合化鋳造の信頼性を格段に向上させることを目的とする。今年度の主な研究項目と成果は次のとおりである。 1.【解析手法の検討】市販の鋳造解析ソフト(JSCAST,クオリカ社)に再溶融過程の機能を追加した新バージョンを得、これを接合判定に応用する手法を検討した。注湯条件、境界条件、心材の取扱等の基本手法を確立した。接合状態判定のパラメータに接合界面溶湯の最終凝固時間を用い、その分布から均一性を判定した。 2.【注湯過程の湯廻り、冷却状態の把握】鋳鉄円筒による鋼管の鋳ぐるみ(埋設型接合)および鋳鉄円筒端面への鋼リングの接合(端面接合)の2ケースについて、注湯過程の湯廻りの状態、冷却状態および充填終了時の温度分布を把握した。また、その原因と湯流れ挙動との関係が確かめられた。 3.【鋳造方案最適化の手法】 3.1 管埋設鋳ぐるみ:体積比7の場合について(1)下注ぎ法(2)上注ぎ法(3)2段堰(4)横置き下注ぎ法、等9種類の湯口堰方案を検討した。上注ぎ法の有効性、段堰、吐かせの効果が無いこと等が確かめられた。 3.2 端面接合:体積比25の場合について、(1)下継ぎ(2)接線堰(3)雨堰(4)吐かせ、の4方案を検討した。端面接合では吐かせの有効性が確認された。 これらから、接合面で均一な良好接合状態を得るための方案最適化手法のおよそを把握できた。 この手法が自動車部品、トラック後輪軸複合ハウジングの製造に応用された。これによって我国初の球状黒鉛鋳鉄製ハウジングが製品化され、量産されている。
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