アルミニウム熱還元反応(テルミット反応)および炭素熱還元反応を用いて廃棄耐火物(マグネシア・クロミアレンガなど)からのマグネシウムやクロムなどの有価金属の回収、あるいはカーバイドとしての有価物として再利用することを目指して、反応速度論的研究を行った。アルミニウム(<150μm)または活性炭(<44μm)とマグネシア(0.4μm)の混合粉末を等方静水圧プレスにより種々の圧力でペレット(直径5mm×長さ5mm)に加圧成形し、熱天秤を用い、マグネシウムおよび一酸化炭素の生成による重量変化を測定し、反応速度を求めた。その結果、マグネシアの還元は、アルミニウム熱還元反応では、1300K以上、炭素熱還元反応では約1600K以上で開始することがわかった。アルミニウム熱還元反応を用いたマグネシアの還元においてはある臨界温度以上で急激に反応が進行するが、還元率が0.75以上では反応速度が非常に遅くなることがわかった。また、臨界温度も昇温速度によって変化するなど、還元挙動は非常に複雑である。なお、急激に還元反応が進行している段階では、マグネシウム蒸気とスピネルが生成し、還元率0.75以上においては、スピネルの還元が起こっていることがわかった。アルミニウム(<150μm)と酸化クロム(3μm)の混合粉末を油圧ジャッキによりペレット(直径10mm×高さ5mm)に加圧成形し、実験に用いた。アルミニウムと酸化クロムの混合比を1:1から1:5と種々変化させ、タングステンヒーターを用いて燃焼合成反応を生起させた。その結果、いずれの混合比においても、'試料を燃焼波が伝播し反応が起こった。反応開始温度はアルミニウム量に関わらず大きく変化しないが、反応開始までの時間がアルミニウム量の増加とともに長くなった。混合粉末にグラファイト粉末を加えて圧密体を作製して同様に実験を行った。アルミニウム量の増加とともに試料を燃焼波が伝播しきらず未反応部分が増加した。グラファイトを加えない場合と比較して反応開始温度は減少した。また、実験後の試料にはグラファイトやカーバイドが検出されなかったことから、すべて還元剤として消費されたと思われる。
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