| 研究概要 |
平成15年度に引き続き,難加工性の7075アルミニウム合金を素材として,溶湯の凝固速度を制御することにより固相粒子が細かな高流動性半凝固スラリーの製造を試みた.また,このスラリーを用いて高効率の高速半凝固押出加工を行って良好な諸特性を有する押出材を得るために実験を行い,最終年度である平成16年度は以下の研究成果を得ている.
(1)昨年度,7075アルミニウム合金の高速半溶融押出材の延性改善に非常に効果のあった圧縮空気による強制鋳空冷を,同じ難加工性のAl-10%Mg合金の場合についても適用したところ,7075合金とほぼ同じ強制空冷条件で,熱間押出材と同等の強度・伸びを有する半溶融押出材が得られ,本強制空冷が他の難加工性合金でも有効であることが確認された.
(2)内径10mmで長さ400mmのスチール管を用いて,管の上部,中間部及び下部をそれぞれ,約700,480及び620℃に加熱保持して,780℃の7075合金溶湯を,管の上部から620℃前後に保持した内径40mmの黒鉛鋳型内に導入し,鋳型を60mm/minで降下したところ,その水冷した鋳塊はほぼ全体に平均粒径が約70μmのかなり細かい粒状組織となり,高流動性と思われる目標に近い半凝固スラリーが得られた.
(3)半凝固押出加工するために,上記(2)と同じ条件で押出コンテナに鋳造したところ,高さが70mmの鋳塊は黒鉛鋳型の場合よりも少し粗いが,平均粒径が約90μmの粒状組織となった.この半凝固スラリーが入った押出コンテナを600,580及び560℃に冷却して固相率を変え,プレスラム速度5mm/sの比較的高速で押出比25と36の半凝固押出加工による丸棒材の成形を行った.その結果,いずれの押出比と温度においても,溶湯を各押出温度に単純冷却した半凝固押出加工ではとうてい得られない,健全な押出材に容易に低荷重で成形可能であり,高流動性半凝固スラリーによる半凝固押出加工の基礎技術が確立できた.
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