研究概要 |
本申請研究の2年目となる平成16年度においては、初年度に確立した試料の浮遊力と冷却能を顕著に増大させる、不活性ガスジェットを下方から吹き付ける新たな手法を用い、半導体Siおよび導電性の向上を目的として、Bを1%程度添加した試料に対し、特に高い過冷度発現と結晶成長の関係解明を目指し、無容器浮遊溶融凝固実験を行った。その結果、本来電磁浮遊炉では浮遊は勿論,加熱も出来ない半導体Siをカーボンリングによる簡易な間接加熱法あるいはB微量添加による導電性を付与させ、不活性ガスジェット流のみで無容器浮遊溶融凝固させることにより、最大270Kまでの高過冷度発現を実現し、併せて過冷度変化(過冷度ΔT=31K〜271K)凝固試料の表面における結晶成長と試料内部の微細構造について新たな定量的結果が認められた。以上、平成16年度においては、本申請研究が最大の目的とする過冷度と結晶成長の関係に対する新たな実験技術は確立でき、併せて高過冷度状態からの無容器浮遊溶融凝固に伴うSiの核生成と過冷度変化に依存した表面および試料内部構造変化に対し、均一核生成下での定量的データを得ることが実現できた。今後は、次世代3次元半導体デバイス用球状単結晶Si創製に対し、現状内外共に定量的結果が得られていない、低過冷度域における沿面成長のカイネティクスと高過冷度域におけるファセット・デンドライト成長のダイナミクスの解明を目指し、特に高い過冷度を有するSi過冷融液からの核生成の解明し、併せて高分解能SEM、透過電顕、AFM、オージェ分光を用いた表面および微細構造解析を行ない、本研究の目的遂行を目指す。
|