本研究は乱流場を形成する粒子相内流動に対し、平均化操作を施し巨視的方程式を導出することを目的とする。まず初年度は風洞実験を行うために、アクリル製ダクトを製作し、測定部の一部(流路幅200×長さ200)には充填層モデルを単純化してアクリル円柱(φ15)を三角格子状に配置した。ブロワーから空気を送り、十分に整流した後に円柱群に流通させ、圧力損失と下流域での流速を測定した。また得られた乱流変動成分から乱流エネルギーを算出した。実験は空隙率0.46〜0.84、Re数1000〜10000の領域で行った。その結果、円柱群を通過した後の乱流エネルギーは指数関数的に減衰する。空隙率一定の場合はRe数が高いほど、またRe数一定の下では空隙率が低いほど円柱群下流域での乱流エネルギーは大きいことがわかった。 円柱群中の流動場に対し、数値解析モデルを構築した。乱流モデルにはkε2方程式モデルを採用し、円柱壁面では滑りなし条件とした。まず微視的流動場を把握するために、周期性を仮定した領域を抽出して解析を行った。流れが円柱に衝突し分岐する箇所、および円柱を迂回してきた流れが円柱後方で合流し、さらに次列の円柱によって縮流される領域で局所的に乱流エネルギーが高くなる。円柱の上流側に形成される乱流エネルギーのピークと円柱の後流に形成されるそれは同程度の大きさであることが示された。また実験と同様に多数本の円柱を考慮した解析では、流れが円柱群に衝突することで乱流エネルギーは大きくなり、円柱群を進むにつれ増大していくが、ある区間を進むとそれ以降はある一定の値に漸近することが示された。これは剥離や縮流により生じる乱れが発達しようとするのを、円柱群の存在によりその空間が制限されるために、乱れの生成と散逸が拮抗しているものと考えられる。
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