研究概要 |
前年度の風洞実験ではダクト内に充填層としてアクリル製の円柱群を配置し、その下流で熱線流速計(DANTEC社製)を用いて流速分布を測定し、乱流エネルギーを算出したが、今年度はアクリル円柱(Φ20mm)を三角格子上に流れに直角に6列、流れ方向に15列配置し(空隙率0.607)、スモークワイヤー法による流れの可視化および、円柱群内における流速測定を行った。熱線プローブ(X型プローブ,Φ5μm)はダクトの上面または下流側から挿入し、主流方向と主流に対して直交する水平方向の2成分を測定した。送風空気量を調整することにより、円柱直径を代表長さとしたレイノルズ数を400〜9000の範囲に設定した。 円柱群に流入すると同時に乱流エネルギーは急激に増大するが、下流にいくにしたがい一定値に漸近する傾向を示した。またレイノルズ数の増加に伴って乱流エネルギーが増大した。 流れの可視化より前列の円柱間からの噴流が円柱に衝突し、剥離渦の形成が観察された。この剥離渦は下流側に進むにつれて変形し始め、左右に振動し、またレイノルズ数が高くなるほどその振動が大きくなることが確認された。しかし、下流域においては乱れの発達は見られなかった。これは渦の成長が円柱間の間隙スケールによって制限されるためであると示唆される。 数値解析では、充填層による乱れの生成を運動量損失項から見積もり、平均化操作を施して導出した乱流エネルギーの輸送方程式の生成項に加えることで考慮した。また、乱流エネルギーの消散率は混合距離をもとに算出した。解析結果は円柱群に流入すると乱流エネルギーが増大し、下流に進むにつれて増大率が小さくなり一定値に漸近することが示されたが、混合距離の値によって値が大きく異なった。円柱群内の混合距離決定法の検討および高次モデルへの展開が次年度の課題である。
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