電場印加エピタキシャル成長法(LPEE法)を用いたCdTe/CaZnTe厚膜成長に関して実験的、解析的に検討した。 数値解析としては、ナヴィエ・ストークス式、エネルギー方程式、エレクトロ・マイグレーションを考慮した拡散方程式を集中格子上に有限体積法を用い離散化し、SIMPLE法を用い解析した。境界条件中にはペルチェ効果を考慮した。その結果電場印加に起因するペルチェ効果により基盤温度が下降し、その結果システムを等温に保ったとしても自然対流が発生することが判った。この対流を抑制するためには磁場印加が効果的ではあるが、昨年度報告したように強磁揚を印加すると、育成結晶中にホールが形成されることが判明しているため、今年度は磁揚と同一の効果が期待できる回転に関する影響に関して検討した。回転により生じるコリオリ力により対流は抑制され、遠心力により高密度成分が固液界面から取り除かれるため、界面付近における濃度勾配が急峻となり、結晶成長速度が促進されるであろうことが示唆された。 一方実験においては、シリコン基板、ガリウム・砒素基板等を用いると、溶液との反応が生じてしまい、基板材料としてはCdTeが必須であることが明らかとなった。これにより厚み23μmの膜成長が確認できた。また結晶成長温度と膜品質との関連に関しても調べた。今後数値解析結果との比較や膜品質の向上のための実験条件の設定に関し引き続き検討する予定である。
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