研究概要 |
本研究では溶融状態にある有機材料に超臨界流体を溶解させ、これをノズルから噴射することによって微粒子の製造を試みた。有機材料として分子量4000と20000のポリエチレングリコール(PEG4000,PEG20000),および分子量7800のポリエステルを使用し、噴霧前の温度,圧力,二酸化炭素濃度を変化させて微粒化実験を行った。ノズルには直径0.1mm,長さ12mmのキャピラリーノズルを用いた。PEG4000に対する実験では二酸化炭素濃度を40wt%以上とすることで幅広い温度・圧力の条件で微粒化が可能であった。平均粒子径は50〜100μmであり、温度の低下,圧力の上昇,二酸化炭素濃度の上昇に従って粒子径が低下した。実験結果に対し、熱収支を計算することにより噴霧時の温度と圧力の変化の過程を推定した。この結果、噴霧前の温度・圧力が低いほど、また、二酸化炭素濃度が高いほどポリマーが液体で存在する時間が短いことが分かり、粒子径が小さくなるという実験結果と対応していた。一方、圧力の影響に対しては実験結果と熱収支計算の結果は逆であったが、これは、圧力の上昇によってノズル内のせん断速度が増加し、微粒化が促進されるためであると考えられる。なお、PEG20000とポリエステルの微粒化実験では生成物は大きな塊状固体か極細繊維となり、微粒化することができなかった。これはこれらのポリマーの粘度が高いためであると考えられ、これらを微粒化するためにはノズルの改造などが必要であると思われる。
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