研究概要 |
ナノ微粒子の3次元配列制御法を検討するため,始めに単分散粒子の作製を行った.コアとなるSiO_2微粒子を水,エタノール,アンモニア,オルトケイ酸テトラエチルを用いて100〜650nmの範囲の単分散球形SiO_2微粒子を4種類作製し(Stober法),そこに単層から200mm程度の層厚を変化させた電解質層を被覆させることができた.作製した試料の粉体層におけるイオン伝導度を測定したところ,イオン伝導度は充填率に大きく依存した.また焼成条件を変えることで被覆層のみ結晶-アモルファス転移させた試料を得ることができ,結晶相を含む試料において伝導度の減少が見られた.充填率を上げるため,これらナノ粒子を有機溶媒に分散し,不均一電場を印加して粒子アセンブルを行った.アセンブルの条件として,溶媒の種類,粒子濃度,電場の強さ等を変え,集積化した粒子群の規則性ならびに層厚を評価した.電場に対して粒子濃度一定の条件下で層厚は極めて明瞭な直線関係になり,また電場一定では粒子濃度が10vol%〜40vol%で層厚をコントロールできることがわかった.また印加時間変化では,ある電場・粒子濃度の条件で層厚は2次関数的に変化し,本年度は最高250層まで積み上げることができた.このような様々な条件で作製した粒子層についてのSEM写真の画像解析を行い,分布関数を用いて集積粒子の規則性を定量的に評価した.規則配列をさせるためには,電圧,印加時間,粒子濃度いずれの場合も最適値が存在することがわかった 次に複合化した粒子を集積して作製した固体電解質材料の評価法ならびに設計法の確立のため,TiO_2粒子にNaClをコーティングした粒子について,そのイオン伝導度を実験的に測定し,MDシミュレーションによる評価を行った.その結果,異相界面では,酸化物の格子面の影響を受け固体電解質結晶格子数層の構造が乱れ,乱れた格子と乱れのない格子の近傍で電荷担体である欠陥の拡散係数が大きくなることがわかり,これらを総合することで界面イオン伝導を有する材料の設計がシミュレーションによって可能であることを示すことができた.
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