研究概要 |
本年度は,種々のバイオマスに含まれる灰分について分析を行い,二酸化炭素によるガス化速度に及ぼす影響について検討した。具体的には,ビール粕、ピーナッツ、パームシェル、ヤシガラ、酒粕、リグニンの6種類のバイオマスを窒素気流中900℃で炭化した。そして,得られた炭化物について灰分量および蛍光X線による灰分中の無機成分について分析を行った。灰分量が最も多かったのはおから(19.9wt%)であり,最も少なかったのは,酒粕(1.8wt%)であった。また,おからの灰分中にはアルカリ金属とくにカリウムが多く含まれていることがわかった。ビール粕も灰分量(16.1wt%)は多かったが,アルカリ金属はほとんど無く,シリカとリンが多く含まれていることがわかった。 バイオマス炭化物の二酸化炭素によるガス化を新規購入した熱重量測定を用いて行った結果,みかけの反応速度は一次反応で整理できることがわかった。また,見かけの反応速度定数と炭化物の比表面積との環系について検討した結果,比表面積と反応速度との間には明確な関係は見出せなかった。灰分量の関係について検討すると,速度定数と灰分量との間には,灰分量が多いと速度定数が大きくなる傾向にあるが,灰分量の多いビール粕の速度定数は小さかった。灰分中に含まれるカリウム量と速度定数との関係について検討した結果,カリウム量が多いほど速度定数が大きいことが明らかとなった。以上のことから,カリウムバイオマス中に含まれるカリウムの量がガス化の際の触媒として作用することが明らかとなった。つまり,おからの様にカリウムを多く含むバイオマスとの共炭化により,ガス化に適した炭化物を得られる可能性が示唆された。
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