研究概要 |
モリブデン、タングステンを担持したメソ細孔性チタニアを調製、それぞれの活性元素の酸化数、局所構造を解析した。調製法は、アルコキシド前駆体をTiのそれと共に加水分解し、メソ細孔性チタニアの合成と共に担持する直説法、メソ細孔性チタニアとアルコキシドの溶液に浸漬し、液を蒸発除去後、熱分解する含浸法の2法を試みた。BET表面積は1000m2g-1程度の細孔径2.0nmのメソ細孔性触媒が調製された。 Mo K吸収端、W L_1吸収端のXANESより、これらの原子の配位対称性を検討した。平均的に対称性が低い順に並べると、Mo,W共にメソポーラスチタニア含浸担持触媒>メソポーラスチタニア直接合成担持触媒>P-25含浸担持触媒となった。また、この序列はEXAFSから解析されたMo-Mo結合の配位数、W-W結合の配位数の小さい順でもある。Mo触媒は水蒸気に暴露するとMo-Moの配位数が増大するが、元々小さかったものは増大量が小さかった。水の吸着により配位不飽和性を持つMoは架橋される可能性がある。以上の結果より、メソポーラスチタニア含浸担持触媒>メソポーラスチタニア直接合成担持触媒>P-25含浸担持触媒で分散度が高いことが示される。またこれらの触媒構造は623Kの焼成においては変化がなかったが、673K焼成では細孔径が3.5nmの新しいメソ構造に変化した。 エタノールの気相酸化、脱水素反応では、P-25担体に含浸担持した従来型の高分散担持触媒は、アセトアルデヒドに90%以上の選択性を示した。一方メソポーラスチタニア担持触媒は同等の活性を示したが、単分子脱水素反応への選択性が大きかった。
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