研究概要 |
現在,直接メタノール形燃料電池(DMFC)のアノード用触媒にはPtRu/C触媒が広く使用されている。しかし,PtRu/C触媒はメタノール酸化の活性が低く,CO被毒やコスト高といった問題も抱えている。そこで平成16年度では,Pt, RuにSnを加えて三元触媒化することによって触媒活性を向上させるため、Pt, Ru, Sn担持カーボン触媒の調製を試みた。調製した触媒は紫外可視分光法、X線回折測定や透過電子顕微鏡により評価した。また、触媒活性は回転リングディスク電極やポテンショ/ガルバノスタットを使った電気化学的な測定によって評価した。 作製した各触媒のTEH観察から,いずれも3-5nmの金属微粒子がカーボン上に担持されていることが確認できた。また,XRDパターンにおいてPtピークはRu添加により高角側へ,Sn添加では低角側にシフトすることが認められた。このことから,RuやSnはptと合金化し,原子間距離を変化させていることが明らかになった。さらに、0.5vol%のCOガスを0.1MH_2SO_4電解液中に連続的に流して測定したポテンショダイナミックの結果、Pt/CではCO酸化の開始電位が約0.65Vであったのに対して,Ru添加により約0.25V, Sn添加では約0.35V低電位側にシフトした。このことから,特にSnとの合金化による耐CO被毒性の向上が大きいことが分かった。また、PtRu/CとPt_3Ru_2Sn/C触媒についてメタノール酸化のポテンショダイナミック測定を行うことでSnの添加効果を調べた。その結果、測定した電流値をCOストリッピング測定から見積もった合金の表面積で割った値を求めた。ピーク電流においてPt_3Ru_2Sn/C触媒の方が電流密度が大きいことより,単位表面積あたりのメタノール酸化反応の速度が向上することが明らかになった。
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