ポリリン酸依存性グルコキナーゼ遺伝子(pgk)をHisタグ融合ベクターであるpET21aに挿入し、大腸菌内に導入した。得られた大腸菌形質転換株を培養したところ、ポリリン酸依存性グルコキナーゼが大量発現していることが確認できた。Hisタグ融合タンパク質を精製するカラムを用いて精製した結果、純度90%の標品が得られた。更にイオン交換クロマトグラフィー等で精製をすすめ、100%純度のものを得た。この高純度精製したポリリン酸依存性グルコキナーゼとクリスタルスクリーニングキットを用いて現在結晶条件を検討している。現在までにいくつか結晶が得られたが、X線解析の結果、すべて塩の結晶であることがわかっている。引き続き結晶化条件を検討する。ポリリン酸依存性グルコキナーゼとATP依存性グルコキナーゼの基質特異性の違いはIIB領域あるいはIIA領域の有無によるものと考えられた。すなわち、ATP依存性グルコキナーゼのIIB領域あるいはIIA領域は、リン酸化の基質をATPに限定するために存在するように考えられた。そこで、大腸菌のATP依存性グルコキナーゼを取得し、そのIIB領域あるいはIIA領域の一部を欠失させたグルコキナーゼを構築した。しかし、現在までに活性を持つ欠失体が得られていない。今後もATP依存性グルコキナーゼの欠失領域を変化させることによって、ポリリン酸を基質とするグルコキナーゼを取得したいと考えている。
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