1.レーダ探知結果に対するAIS搭載船と非搭載船識別アルゴリズムの検討 現行の舶用レーダでは、観測毎に直接計測できるのは目標の方位と距離すなわち位置のみである。一方、AISでは、船舶の位置、針路、速力などの情報が通報される。これら2種類のセンサーによる目標の情報を統合する際に位置情報のみを用いた相関処理では、観測対象となる船舶が接近した場合に誤りが生じる。この対策として、目標のラジアル速度も併せて利用することを提案した。そして、これを実現するために、マグネトロンを送信管に採用する舶用レーダでも、信号処理により位相補償することでコヒーレント化が可能であること、受信信号のドップラー周波数から目標のラジアル速度が計測可能となることを明らかにした。結果をAISセミナー「AISも現状と展望」において発表した。また、パソコン上のS/W開発ツールであるMATLABを導入し、レーダエコーより、目標船舶の位置、相対速度などを抽出するためのレーダ信号処理シミュレータを作成した。 2.遠隔情報計測のための通信モデルの検討 GPSあるいはレーダ他のセンサにより計測した位置情報を他船に伝送する際の誤りを低減するために、通信波を受信する際にコヒーレント積分する通信方式を検討した。積分中の位置の変動あるいは送信側と受信側との相対距離変動により通信波に生じるドップラーシフトなど積分損失の原因とその影響を明らかにし、ドップラーシフトの影響を補償する信号処理方式を確立した。結果を電子情報通信学会にて発表した。
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