多大な計算時間が要求される粒子法の計算を実行するために、今年度は8台の低価格なPCにLinuxシステムを導入し、ベオウルフ型クラスタシステムであるScore System+mpichの構築、これらに用いられるネットワーク機器の最適化並びにシステム全体の評価を終了させた。8台を越える16台のPCクラスタの構築も行ったが、現在当方が所持しているインテリジェントスイッチ性能の限度から、8台程度がコストパフォーマンス的に最良という結論を得ている。現在本研究の最難関である粒子法プログラムの並列化を実施中であるが、下記に示すような幾つかの問題があることが今年度の試計算の研究で判明しており、来年度はこれらの問題をクリアすることが重要と考える。 1.並列化の手法として、領域分割法と粒子分割法の2種類が考えられるが、お互いに長短所があり、選択方法も考慮に入れて検討する必要がある。 2.現在1台のPCにメモリを1GB搭載しているが、並列化手法及び事象によっては不足する場合がある。 3.事象によっては今回の並列計算機を用いたとしても計算量の多さから、計算時間が数週間になる可能性がある。 4.粒子法に於ける最適な密行列の並列化解法を検討する必要がある。 更に粒子法の並列計算結果との比較のため、同じクラスタシステムに有限体積法で作成された市販の商用アプリケーションソフトSTAR-CDの並列化版(STAR-HPC)の構築と信号送受信ソフトであるMPIを用いた外部プログラムとの結合を8割ほど終了させた。
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