研究概要 |
本年度は、研究初年度であり、バーチャルファクトリーの基礎的な研究を行った。 1.文献調査 各種業界のバーチャルファクトリーの研究や実績について、雑誌、論文、インターネットなどを調査し、造船におけるバーチャルファクトリーの狙いと研究の方向付けについて検討した。ディジタル化による生産全体の最適化(Computer Optimized Production)を狙いとした。 2.ウエアラブルコンピュータの試用 ウエアラブルコンピュータの市販品や適用例を各種調査し(現在のところ造船への適用は1例のみ)、IHIMU(アイエイチアイマリンユナイテッド(株))呉工場の作業現場(管工場)で試用した。この結果、ウエアラブルコンピュータ導入のメリットや問題点などが浮き彫りにされ、また、今後の適用拡大の方向付けもなされた。 3.バーチャルヒューマンモデルの導入 人間を3次元の力学モデルとし、作業時の姿勢・動作・負荷を解析できる汎用ソフト"Jack"を購入し、試行した。Jackはこの分野では世界の最先端を行くソフトで、最近各分野で利用されつつある。適用例として、造船作業者に腰や膝の障害を持つ人が多いため、工場内での重筋作業、特に重量物の持上げ作業に対する身体負荷解析を行った。 4.上記1,2を纏め、アイエイチアイマリンユナイテッド(株)と共同で造船学会秋季講演会にて発表したほか、詳細な論文(造船におけるディジタルファクトリーの研究 第1報)を現在造船学会に投稿中である(論文審査にパスすれば本年8月頃造船学会論文集に掲載される)。また、昨年12月台湾で開かれた国際会議TEAM2003(アジア太平洋船舶構造会議)でも発表し、参加者から多大の関心や興味を集めた。
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