研究概要 |
GeoHPシステムを効率よく利用するためには、地下温度分布と地下温度分布に影響を与える地下水流動系を知る必要がある。そこで本研究では,これまで秋田平野を対象として(1)フィールド測定による地下温度分布の把握,および地下水の涵養から流出にいたる地下水流動系の解明,(2)秋田平野の広域的な地下水流動系モデルによる地下温度分布・地下水流速分布の推定,などを実施した。 フィールド測定では,秋田平野において消雪用の深井戸(12箇所)、一般の家庭で使用されている浅井戸(29箇所)、湧水(5箇所)、河川(9箇所)を対象に地下水調査を行った。浅井戸では、地下水位を測定し地下水面図を得た。深井戸では2m間隔で地下水温度測定を行って鉛直温度プロファイルを得た。水質分析に関しては、現地にてpH、電気伝導度を測定した。 地下水流動モデリングではWASY社の3次元地下水流動・熱移流シミュレーションソフトFEFLOWを使用し,秋田平野を対象とした南北32km×東西28kmの広域的な3次元地下水流動・熱移流シミュレーションモデルを作成した。数値計算の結果、秋田平野の平均地下水流速は1.38×10^<-4>(m/d)と推定された。また、温度分布と地下水位に関して、計算結果はフィールド調査の測定結果と良好な一致を示した。 また,フィールド調査の測定結果と広域流動系モデルの計算結果から、秋田平野における地下水流動系は、東側と南側の丘陵地で涵養され、平野中心部で2つの流動系が合流し日本海側へ流出していることが推定された。加えて,平野中心部に見られる温度の高まりは2つの流動系が合流するために生じていると推定された。 今後はより秋田市内に設置予定の公共施設におけるGeoHPシステムの長期的な挙動予測計算をこれまで開発した数値モデルを使用して行う予定である。
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