研究概要 |
大陸棚に賦存しているメタンハイドレート(以下MHと記す)の開発には,MHの分解に伴うガス湧出に対処し得る坑井掘削技術すなわち,坑井の圧力制御を可能にする掘削技術が必要である。このためには,掘削井内におけるガス並びに繰り粉を伴う泥水の循環流動について熟知しておくことが肝要である。本研究は掘削井の圧力制御シミュレーターの開発に資することを目的とし,垂直同心二重円管内非ニュートン液体気液固三相流動の熱流動解析法、擬塑性流体の粗面円管内流れの管摩擦係数とレイノルズ数とも関係並びに偏心二重円管内の擬塑性流体中を沈降する個体粒子の干渉沈降速度について実験的に検討を加えたものである。その結果、次の成果が得られた。 1)擬塑性流体の同心二重円管における熱流動をシミュレーションする際に必要な一次元の質量保存式、運動量保存式及び熱エネルギー保存式並びにレイノルズ数を、レオロジー定数の補間を要しない形式にて示し得た。 2)擬塑性流体の粗面管同心二重円管流れの摩擦係数とレイノルズ数の関係として、ニュートン流体に対するColebrookの考えに倣い、Dodge & Metznerの管摩擦係数の式を基に次のように求め得た。また、管摩擦係数の算出プログラムを示得た。 1/√<λ_l>=2log[ε_l/D_<hl>/3.71+〔2^<2(2-n)>・10^<0.1/n^<0.45>>/Re_l(2√<λ_l>)^<2-n>〕^<1/n^<0.75>>]^<-1>, (l=A, C) ここに、Re_l=8^<1-n>ρ_LD^n_<hl>|V_L|^<2-n>φ^n(ζ_A)/K_l、A:二重円管、C:単管 3)偏心二重円管内の擬塑性流体中を沈降する粒子の沈降速度は偏心二重円管内の沈降位置により異なっている事を実験的に示すとともに二重円管内を沈降する粒子の干渉沈降速度の推定には単管路に対する考えをそのまま適用し得ないことを指摘し得た。
|