昨年度までに決定した仕様に基づき作成したXML製品ライフサイクルモデルを分散情報利用技術のコンポーネントの一つとして活用を図るため、XML記述仕様の整備・拡張を行った。またこれと併せてモデル作製を支援するGUIの設計も行った。これによって、仕様やモデルの内容について知識のないユーザであっても、比較的容易にユーザ独自のモデル作製が可能できるようになった。 さらに分散情報利用基盤の具体的設計を行ない、断片的モデルや種々の要素技術となる情報資源がネットワーク上に存在するという環境を仮想的に構築して、断片的モデルから完全なモデルの構築するための作業や種々のデータベース、LCA手法、最適化手法などの外部アプリケーションとライフサイクルモデルと統合して利用する方法について検討を行った。実際にはウェブサービスアーキテクチャに着目して、このようなLCE要素技術の統合環境のフレームワークを提案した。 一方、ライフサイクル評価のための新たなコンポーネントとして、(1)多目的最適化手法の新しい手法を開発した(2)製品の分解容易性配慮設計を支援するシステムのプロトタイプ開発を行った。前者は、環境配慮技術の評価は工学システムにおいては現実的には多属性となることから、そこでの意思決定支援には不可欠である。開発した手法は手法自体についての知識がなくても相対的価値判断のみで適用可能である。また後者の主要な考察は、最適な製品分割順序の導出に関わるもので、具体的には問題を組み合せ最適化問題として定式化し、解法として遺伝プログラミングを適用した。資源の有効利用のための製品設計を支援する要素技術として今後の活用が期待されるものである。
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