持続ある発展に配慮し、その意識を経済活動に織り込むことの重要性は、ますます増加してきていると同時に複合化している。このため達成に関して互いの調整が必要となる多様な要請の下で、新しく創製されたり、既存のものから再構成された技術やシステムをライフサイクル全般にわたって総合的に評価し、新しいしくみの構築につながる意思決定を支援できる技術の体系化を目指した。このため、特に、これまで開発してきたフレームワークおよび要素技術について再検討を行った。すなわち分散情報利用基盤の基本概念に基づいて仮想的に構築したネットワーク上の要素技術の統合利用環境の構成法にさらに検討を加えた。そして断片的な部分モデルや要素技術をライフサイクル技術開発管理者が登録、公開する一方で、任意のユーザがこれらを自由に検索し、データやアプリケーションの取得を経て、ユーザ独自の解析や意思決定を行う手順が与えられるWebサービス機能を実現した。またライフサイクルモデルの活用をシナリオ解析やシステム解析のためだけでなくシステム合成のためも利用できるようXML記述仕様の整備・拡張について検討を行った。 一方、資源の有効利用を通じた環境配慮型システム創製の新たな要素技術の一つとして開発した製品の分解容易性設計支援システムの実用性の向上に向けた拡張を図った。そこでは、主として多目的評価及び大規模システムへの対応を可能とする階層的評価法を開発した。 さらに、別の要素技術として前年度に取り上げたネットワーク設計問題を原料調達から製品配送まで物流ネットワーク全体を対象とするよう拡張を行った。そして、混合整数計画問題による定式化を与え、大規模な問題にも対応可能な実用的な求解法を開発した。
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