研究課題/領域番号 |
15560708
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
片山 裕之 島根大学, 総合理工学部, 教授 (00284018)
|
研究分担者 |
中村 崇 東北大学, 多元物質科学研究所・資源変換・再生センター, センター長・教授 (20112360)
北村 寿宏 島根大学, 共同研究センター, 助教授 (60314621)
上原 徹 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (90093640)
鈴木 亮輔 京都大学, 大学院・エネルギー科学研究科, 助教授 (80179275)
|
キーワード | 鉄スクラップ / 銅 / 鋳鉄鋳物 / ダスト / 重金属 / 資源涸渇 / 都市鉱山 |
研究概要 |
鋳鉄鋳物中の銅は、鋳物の耐食性を増すが、他の材質には著しい悪影響が報告されていないことに着目して、銅を伴う鉄スクラップを、鋳鉄鋳物(鋳物としての製品、およびダスト中間処理晶の保管容器)の製造に利用し、各種重金属を含むダストの中間処理品を、その容器に入れて数10年間保管し、資源涸渇時に容器からは銅など、また、ダスト中間処理品からは亜鉛、鉛、カドミウム、セレンなどの元素を総合的に抽出するリサイクルシステム(時間差対応型多成分リサイクルシステム)を構築しようとしている。 これまで、銅を含む鉄スクラップの流れ、鋳物産業のこのシステムへの対応力の可能性の調査を行ない、別途、研究を進めている低温破砕で得られた銅含有スクラップと結び付けることに着目している。 銅が鋳鉄鋳物材質に及ぼす影響については、実験室規模で銅と錫を含む鋳鉄試料を作成して、強度、硬度など機械的性質を調べ、また、耐腐蝕試験を開始した。銅、錫の濃度とともに、硬度が増すことから、普通の鋳物製品に適用するには、切削性への悪影響にどう対応するかが課題として浮かび上がっている。 ダストを焼結したものから、銅、亜鉛、鉛、砒素、カドミウム、セレンなどの元素を系統的に分離して回収するプロセスについては、調査検討を進め、湿式処理と乾式処理を組み合わせた方式のイメージを作りつつある。 各種元素の資源状況、将来の価格予測など、システムシミュレーション用の基本データを蒐集し、経済的に成り立つための条件を検討するためのシミュレーション方式の検討を始めている。このシステムについて最も抵抗感が大きいのは、「環境に問題があるものを見える形にしておくこと。また、いつ有効利用されるかが不確実なものを、保管すること」にあると思われる。これを乗り越えるために、前者については放射線廃棄物、後者についてはレアメタルの備蓄の先例と比較を行なっている。
|