研究課題/領域番号 |
15560713
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
奥野 健二 静岡大学, 理学部, 教授 (80293596)
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研究分担者 |
今井 剛 日本原子力研究所, 核融合工学部, 次長・加熱工学研究室長・主任研究員 (80354637)
吉岡 濶江 静岡大学, 理学部, 助教授 (80021955)
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キーワード | 核融合炉 / RF加熱装置窓材 / CVDダイヤモンド / トリチウム / 高エネルギー化学 / X線光電子分光法 |
研究概要 |
ダイヤモンドは核融合炉において加熱装置と真空容器の結合部の窓材としての使用が期待されているため、ダイヤモンドとプラズマから漏洩する高エネルギー粒子(重水素、トリチウム、ヘリウム)との化学的相互作用に関する成果は核融合炉開発にとって有益な知見となる。そこで、本研究では、CVDダイヤモンドに高エネルギー粒子(重水素およびヘリウム)照射を行ない、各照射により引き起こされるその化学構造変化および注入された重水素の存在状態についてX線光電子分光法(XPS)を用いて研究を行なった。 D_2^+およびHe^+を照射したダイヤモンドに対するXPS測定の結果、ダイヤモンドのC1sピークトップはD_2^+およびHe^+照射ともに低エネルギー側へシフトし、ダイヤモンド構造が乱れることを示した。ピークシフトの大きさはD_2^+およびHe^+の照射量とともに増加するが、D_2^+照射ではフルエンスが1×10^<21>D^+m^<-2>、He^+照射においては1.8×10^<22>He^+m^<-2>あたりでピークシフトはほぼ一定になることが明らかとなった。これは構造が乱される効果とそのアニーリング効果が平衡に達したためと考えられる。また、ピークシフトの大きさはD_2^+照射の場合は約0.4eV、He^+照射では約1.0eVであり、両者に大きな差が見られる。これはHe^+照射においては化学結合をつくるような化学的緩和効果が期待できないことから、この差は重水素の化学的効果であると言える。すなわち、D_2^+照射によって構造が乱されてピークトップが低エネルギー側にシフトする効果と、化学結合を形成することで高エネルギー側にシフトする効果によって、He^+照射の時より早く平衡に近づいたものと考えられる。この化学結合はC-D結合である可能性が高い。 以上の成果は、高エネルギー粒子の固体における構造変化の解明といった高エネルギー化学的観点からのみならず、核融合炉のプラズマ加熱装置の実現において重要な課題と考えられているダイヤモンド窓の特性評価といった応用的観点からも有益な成果を含んでいる。
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