研究概要 |
ペレットアブレーションについては、これまでいくつかのモデルが提唱されているが、いずれも一次元球対称を基本としている。しかし、磁力線方向からの加熱を考慮すると現象はかなり異なる。そこで半径2mmの球状ペレットが、電子温度2keV、密度10^<19>m^<-3>の背景プラズマおいてアブレーションする様子の計算機シミュレーションを行った。但し、ここでは、磁場は加熱方向についてのみ寄与し,電磁力は働かないと仮定している。 ペレットを北極と南極方向から加熱すると、アブレーション圧力は両極上で最も高く、赤道上で最も低くなる。この圧力不均一は数MPaに達するため、ペレットは歪みを生じ、円盤状に変形する。つまりペレットの赤道上の断面積が増大する。そのため磁力線に沿った熱流の受面積が増大し、アブレーション率も増加する。一方で、アブレーションによりペレットの体積は減少し続けている。そのため、赤道上の断面積は40μsで最大となり、以降は減少に転じ、それとともにアブレーション率も減少し、その結果ペレットのライフタイムは60μsになる。一方、一次元球対称を仮定した場合は、変形が生じないため、・熱流の受面積は単調に減少する。よってアブレーション率も単調減少となり、ライフタイムは100μsになる。従って、磁力線方向からの加熱を考慮すると、ライフタイムが短くなることが明らかになった。この傾向は、初期条件を変えても同様である。 今後は、電磁力を考慮し、トーラスプラズマ中における低温高密度のアブレーション雲の運動について明らかにする
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