研究概要 |
高アスペクト比トカマクのベータ限界に対する強磁性体及び抵抗性壁の効果が調べられた。トカマクは、トーラス状の磁場閉じ込めによる核融合装置、ベータ値はプラズマ圧力と磁気圧力の比でこの値が高いほど核融合炉の発電単価が安くなる。また現在核融合炉壁の材料の第一候補として考えられているフェライト鋼は、強磁性体材として知られており、従ってベータ限界に対する強磁性体壁の効果は核融合炉開発にとって最も重要な問題の一つである。 強磁性体の効果を含んだ限界ベータ解析により、高アスペクト比トカマクにおいて、強磁性体壁の比透磁率が2の場合でベータ限界は、強磁性の効果がない場合の90%に低下することが示された。比透磁率の値は、磁場の強度によって大きく変化するが、現状のトカマク装置で約2,今後のより強磁場となる装置では、その値はより小さくなると考えられている。これらの解析においては、プラズマ電流、プラズマ圧力の双方に対してパラボラ分布を仮定し、壁の位置、厚さは各々、プラズマ半径の1.43,0.07倍とした。一様電流分布の円筒トカマクプラズマの場合の外部キンクモードに対して理想導体壁のつくる安定窓は、強磁性体の効果により減少することが示された。抵抗性壁の効果のみを考慮した場合、この安定窓の大きさは変化しないことが知られている。次に高アスペクト比トカマクの外部キンクモードに対する抵抗性壁の安定化効果に対するトロイダル方向のプラズマ流の影響が調べられた。その結果、プラズマ流が0.3v_<pa>、v_<pa>はポロイダルアルフヴェン速度、以上になると、抵抗性壁でも理想導体壁の安定化効果を持つことが示された。また強磁性体壁は、抵抗性壁モード、理想キンクモードの双方に対して不安定化効果を持つことが示された。
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