研究課題
原型炉の開発において考えられる二つの重要な課題は高ベータ化と低放射化材料の開発である。後者の低放射化材料の開発では、現在低放射化フェライト鋼が原型炉の構造材料の最有力候補であるが、強磁性体であるため、プラズマの生成、制御、MHD安定性、閉じ込め等に悪影響を与える可能性が懸念されている。その中でも特にMHD安定性は、前者の高ベータ化を制限している重要な項目であり、フェライト鋼(強磁性体材料)がMHD安定性を劣化させ、ベータ限界を下げる可能性がある。従って低放射化材料としてフェライト鋼を考える限り、強磁性体のMHD安定性に対する影響を調べることは核融合炉開発にとって最も重要な問題の一つである。本研究の目的は、プラズマ回転の効果を含めた低アスペクト比、非円形断面プラズマ配位の平衡に対して抵抗性MHD方程式を用いた線形MHD安定性コードを使って線形MHD安定性解析を行い、強磁性体のベータ限界に対する効果を調べることである。以下本年度に得られた結果について報告する。強磁性体の効果によるベータ限界の減少は、アスペクト比が3のトカマクに対して比透磁率が2、3のフェライト鋼を使った場合で各々8%、20%となることが示された。高アスペクト比トカマクでは存在しなかったトロイダルプラズマ回転とプラズマ散逸の効果でできる安定窓がアスペクト比3のトカマクでは存在することを示した。また現在、原研で計画中の国内重点化装置(NCT)の上下対称の標準プラズマに対して、有限の抵抗率を持った実形状の安定化板と真空容器の安定化効果を考慮し、安定化板の後ろに置かれたフィードバック・コイルによる負帰還制御を行って得られる限界ベータ値が3.8であることを示した。安定化板と真空容器の抵抗率を充分下げた場合の理想限界ベータ値が5.5であるので、負帰還制御の方法に充分改善の余地のあることがわかった。
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Plasma Physics and Controlled Nuclear Fusion Research 2004(Proc.20th Int.Conf.Vilamoura, 2004) FTP7/7
Nuclear Fusion 43
ページ: 949-954