研究概要 |
京都大学原子炉実験所で濃縮安定同位体Na^<79>Br(濃縮度99.41%)及び^<104>Ru(濃縮度99.21%)金属微粒子を熱中性子照射することにより、^<80,80m>Br及び^<105>Ru線源を製造した。これらの粒子が分散されているHCl溶液を、金属蒸着VYNS膜上に展開することにより絶対測定用線源とし、崩壊率とγ線強度を2次元データ集積システムを用いる4πβ-γ(HPGe)同時計測装置で測定した。HPGe検出器のγ線検出効率は、標準線源として^<24>Na,^<57>Co,^<60>Co,^<133>Ba,^<134>Cs及び^<152>Eu線源を各シリーズにおいて測定することにより校正した。これらの線源は放射性核種溶液から作製し、同じ装置で測定を行った。 ^<80m>Br(4.42h)の内部転換電子は^<80>Br(17.68m)の崩壊率測定に影響し、^<24>Na(14.965h)のβ線も4πβ計数管で計数される。一方、^<105>Ruの娘核種である^<105>Rhは半減期35.36hでβ粒子放出によって崩壊する。それゆえ、測定とデータ処理で種々の注意が必要であった。 ^<80>Brの616.3keVγ線の放出率は6.14±0.05%で、以前の報告値6.7±0.6%は約10%過大評価されていることが明らかになった。^<105>Ruに対するデータは不確かさの範囲内で一致したが、不確かさは強いγ線で3%から0.6%へと大きく改善できた。他方、^<105>Rhの306.1keV及び318.9keVγ線の放出率は、それぞれ4.76±0.05%と16.99±0.17%で、評価値の5.1±0.6%と19.1±0.6%は10%程度過大評価されていることが判明した。
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