研究概要 |
粗面(RS)及び鏡面(MS)をもった直径1.2mmの白金水平円柱を用いて,サブクール度約160K及び系圧力0.1〜2MPaの範囲で,サブクールプール沸騰CHFを求めた。RS及びMSの水平円柱について,系圧力が0.1,0.69,1.47及び2.06MPaで求めたサブクール度に対するCHFデータを比較したところ,RS円柱発熱体を用いたサブクール度に対するCHF値は,低いサブクール度と高いサブクール度において,各々のサブクール度についてCSに対応する流体力学的不安定性(HI)に基づくCHF曲線(HI曲線)と不均質自発核生成(HSN)に基づくCHF曲線(HSN曲線)と良く一致することが明らかになった。一方,MS,CS及びRS円柱発熱体の低いサブクール度に対するCHF値については,系圧力0.1MPa及びサブクール度がおおよそ30K以下の領域で,異なる表面状態をもった同じ直径の円柱発熱体から求まるCHFデータが表面状態に無関係であることが明らかになった.さらに,この事実からMS円柱発熱体のHIに基づくCHFは,系圧力及びサブクール度の狭い領域にMS状態によって不顕在化されていると推測できる.しかしながら,系圧力0.1MPa,サブクール度40K以上のCHF値及び系圧力0.69,1.47及び2.06MPa,サブクール度0〜180KにおけるCHF値は,各々相当するHI曲線とは全く異なる結果となった.低い系圧力0.1及び0.69MPaのCHF値は,表面状態に無関係にCS円柱発熱体から得られたHSN曲線に漸近した.さらに,直径1.2mmのCS,RS及びMS水平円柱発熱体を用い,0.1MPaから2.06MPaの系圧力範囲で求めた飽和プール沸騰CHFについて検討した.その結果,CS及びRS水平円柱発熱体の系圧力に対する各々のCHF値は,ほとんど一致した。
|