研究課題
本研究は、大阪府立大学先端科学研究所の18MeV電子ライナックを用いて行った。利用する電子線のエネルギーは、放射化の問題がない10MeV付近を選んだ。平成15年度に基礎的な照射場が確立された超微弱電子線の条件をより高度化し、パルスあたりの電子線の電荷量3fCにおいて照射実験が可能になった。真空窓を通過したビームを、広がった状態で照射することにより、目標とする100μSv以下の線量での照射が可能になった。個人被ばく線量計として用いられている熱蛍光線量計に対して種々の条件で照射を行い、信号として得られる熱蛍光の積分値が電子の照射線量に対してほぼ比例する結果が得られた。これを、コバルト60ガンマ線照射の結果と比較した。エネルギーのそろった高エネルギー電子線照射のデータはこれまで必要とされていたにもかかわらず、加速器電子線での実験が困難であったため、得られていなかった。イメージングプレートを利用して、2次元の電子線線量分布が得られた。熱蛍光線量計よりさらに高感度で、低線量の照射が必要である。これらの結果から、高感度線量計が超微弱電子線の線量、線量分布の計測に利用できることが明らかになった。イメージングプレートでは、模擬欠陥を配置した板状試料の電子線透過像が得られ、パルス電子線ラジオグラフィーの基礎が確立された。超微弱電子線の生物に対する刺激効果についての研究では、大腸菌、酵母、微生物の電子線照射後の増殖や遺伝子に対する影響を調べる実験を行った。ガンマ線照射効果や結果の計測法について成果が得られたが、詳細な照射実験の実施は今後の課題である。
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Proc.3rd US-Japan Symp.On NDE, June 20-24, 2005, Hawaii, USA. (印刷中)
Radiat.Phys.Chem. 71
ページ: 235-238
ページ: 603-606