研究課題/領域番号 |
15560731
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研究機関 | 特殊法人日本原子力研究所 |
研究代表者 |
山口 憲司 特殊法人日本原子力研究所, 中性子利用研究センター, 副主任研究員 (50210357)
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研究分担者 |
山本 博之 特殊法人日本原子力研究所, 中性子利用研究センター, 主任研究員 (30354822)
志村 憲一郎 特殊法人日本原子力研究所, 物質科学研究部, 博士研究員 (90391292)
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キーワード | シリサイド / ベータ鉄シリサイド / 耐放射線性 / 半導体 / X線回折法 / 照射効果 / 光学的特性 / イオンビームスパッタ蒸着法 |
研究概要 |
本研究では、Siの耐放射線性を向上させる試みの一環として、イオンビームスパッタ蒸着(IBSD)法を用いてβ-FeSi_2相を創出し、Si表面の改質を試みた。さらに、これに対して高エネルギーイオン照射等を行い、照射前後での特性変化を調べ、改質Si相への照射効果に関する知見を得ることを目標に掲げた。 実験では、高エネルギー重イオン照射による電子励起効果を利用して、半導体相であるベータ相から高温相でかつ金属相であるアルファ相への転移を期待した。X線回折測定によると、136MeV Xeイオン(13-14価)を照射した場合、低フルエンスでは、結晶構造はほとんど乱されなかったものの、その後照射を重ねるにつれ、ベータ鉄シリサイドとしての結晶構造は認められなくなった。また、アルファ相への転移も認められなかった。一方、電気特性に関しては、対照実験として行ったSi基板への照射において、低フルエンスでも常温付近で電気的な接触がとれなくなるほど電気特性の劣化が著しかった。しかし、鉄シリサイド膜の場合は、室温でSiと同様、みかけの移動度が著しく減少する傾向が認められたものの、電気特性自体は精度良く測定できることを確認した。 イオンビームと固体表面の相互作用に関する情報を得るために、発光測定を行った。本手法によるβ-FeSi_2としては初めて、100K以下の温度にて0.77及び0.83eV付近に発光ピークを観測した。さらに、1153Kでアニールすることにより、ピーク位置は0.81eV付近にシフトするものの、ピーク強度は1桁以上増加した。Siも同様に0.81eV付近に転位に起因するピークを有するが、Si基板単独に対する発光測定の結果と比較検討することにより、このピークは基板固有のものでも、基板に対するスパッタ洗浄処理に由来するものでもないことを明らかにした。
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