研究概要 |
ウェルナーヘリケース遺伝子ファミリーは、ヒト及びマウスにおいては少なくとも5種類以上のメンバーからなり、その内の3種類は、ウェルナー、ブルーム、ロスモンド・トムソン症候群(RTS)の原因遺伝子であるが、これらの疾患の臨床像を説明し得る作用機構についてはほとんど解明されていない。そこで、WRN、RecQ1、RecQ4,RecQ5の4種類のKO-Miceを作製し、高等生物の生体内における各ヘリケース遺伝子の機能・役割分担を解析している。 各遺伝子のターゲティングベクターをマウスES細胞へ相同組換えにより変異を導入した結果、Wrn、mRecQ1、mRecQ4 KO-Miceは樹立でき、継続して解析している。mRecQ5はホモ変異体は胎生致死である可能性が高い。RTSの原因遺伝子であるRecQ4に関しては3種類のKO-Miceについて解析した。1)ほぼヌルタイプ(Nアレル)のホモ変異体は、胎生3.5〜6.5日にアポトーシスが亢進し致死であった。胎生3.5日胚のブラストシストにおいて、ICMやトロフォブラスト数は減少し、in vitroにおける細胞増殖活性も有意に低下していた。2)Cre-loxPシステムにより欠失可能なコンディショナル変異アレル(S'とS)を持つマウスから得られた「S'/N」コンパウンドヘテロマウスは、成長遅延・白髪化が加齢に伴い顕著となり、また毛嚢の数は少なくメラニンの色素低下や分布異常といった皮膚病変も認められた。3)ヘリケースドメイン以降のC端を欠如する変異アレル(Tアレル)のホモ変異マウスも同様にRTS患者で報告されている病変が認められた。また、mRecQ4のN端及びC端に対する抗ペプチドポリクローナル抗体は、Western blot法により大腸菌でそれぞれ部分発現した蛋白との反応性を確認後、樹立した線維芽細胞株への反応特異性も確認できた。
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