1.シロイヌナズナのLINEの転写とその開始点の同定:orfが完全に保存されているシロイヌナズナのLINEについて、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤5-Azacytidineで処理したシロイヌナズナの培養細胞由来のRNA(転写産物)の解析を行い、その5'端をRACE-PCR法を用いて決定した。 2.シロイヌナズナのLINEのプロモーター部位の同定:5'-UTR領域をルシフェラーゼ(luc)遺伝子の上流に連結したプラスミドを構築し、シロイヌナズナ培養細胞(継代3日目)に形質転換、16時間後にプロトプラストを回収、ルシフェラーゼを抽出し、その活性をルミノメーターで測定、転写の有無や程度をルシフェリンの発光度で判定、2カ所に内部プロモーターを同定した。 3.シロイヌナズナのLINEのorf1とorf3の機能解析:2-1)核局在活性の解析 シロイヌナズナのLINEのORF1に存在する核移行シグナル様ドメインを含むDNA断片を、GFP遺伝子に連結したプラスミドを作成、タバコBY2、培養細胞に導入、生じたGFP-ORF1融合タンパク質の細胞内局在を蛍光顕微鏡下で調べた。シグナル配列にアミノ酸置換変異や欠失変異を導入した変異体でも解析し、当該ドメインが核局在活性をもつことを証明した。 2-2)遺伝子産物の相互作用 シロイヌナズナのLINEのorf1のN末側領域にはロイシンジッパー様配列(ILII)が、中央部には、Zinc finger配列が(CCHC)が存在する。このタンパク質について、酵母のtwo-hybrid systemを用いて、タンパク質間の相互作用の有無を解析した。また、種々の変異体を作成して必要なドメインを同定した。また、ORF1の核局在シグナルを欠失したGFP融合タンパク質を産生するクローンを作成し、核局在シグナルをもつがGFPタンパク質を融合していないクローンと共存させて、核移行活性を見た。その結果、ORF1が複合体を作成することが示唆された。
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