研究課題
基盤研究(C)
植物プランクトンの共存機構について実験的および理論的検討を行った。(1)実験的検討:連続実験を主に行い、いろいろな栄養塩・流量状態における植物プランクトン種の共存・競争を調べた。藍藻と緑藻の競争・排除は、栄養塩量、流量状態に依存して変わることを実験的確認した。特に、流量変化、栄養塩供給様式(断続的か連続的)をかえた実験は、ほとんど行われていないので新しい知見をもたらした。(2)理論的検討:低流量の連続培養(ケモスタット)に対する検討および格子モデルを用いた[プランクトンのパラドックス]および「富栄養化のパラドックス」の検討をした。植物プランクトンは、均質な水環境中に生息するにもかかわらず、多種が共存している。競争的排他原理が必ずしも成立していないように見える。この一見すると矛盾にみえる現象は、「プランクトンのパラドックス」と呼ばれている。また、低栄養塩になると多様性があがり、栄養塩量が増えると多様性が減る。栄養状態がよくなれば多種存在が可能になると思われるが、実際は多様性がさがる。このことは「富栄養化のパラドックス」と呼ばれている。このことを踏まえ、まず、連続培養(ケモスタット)実験で、低栄養塩・低流量状態における多様性を調べた。低流量では、装置の希釈率は必ずしも藻種が実際に受ける希釈率ではなく、藻種に対する直接の希釈率は栄養塩の濃度に依存し、低栄養塩では装置の希釈率より低いということを仮定して、実験結果を説明できた。希釈率と栄養塩濃度の関係は、種特異的であると考えられるので、低栄養塩域では、種多様性が高くなると推測できた。格子モデルを用いて、10種の空間競争モデルを構築した。10種は、周囲の栄養塩量に従い成長率に微妙な違いをもつとした。平衡にいたるまでの時間について生態学的時間と言う考えを導入し、栄養条件にしたがい、植物プランクトン数がどのように変化するかを検証した。植物プランクトンは一般的に考えられているより、局所的な生育をするということが判明した。このことにより、「プランクトンのパラドックス」が説明できた。栄養塩が増えると、おのおの種の局所的成長から、種間の競争がはっきりと出現し、種数が減少することから「富栄養化のパラドックス」が検証できた。
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