研究課題/領域番号 |
15570012
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
天野 雅男 東京大学, 海洋研究所, 助手 (50270905)
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研究分担者 |
宮崎 信之 東京大学, 海洋研究所, 教授 (40101464)
吉岡 基 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (30262992)
中原 史生 常磐大学, コミュニティ振興学部, 講師 (10326811)
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キーワード | マッコウクジラ / 潜水行動 / データロガー / ハクジラ類 |
研究概要 |
昨年度の結果に基づき、吸盤吸着型データロガータグの改良を行うとともに、2004年5月から7月にかけて紀伊半島熊野灘沖、10月に小笠原父島沖で、吸盤吸着型データロガータグのマッコウクジラへの装着を試みた。熊野灘では3頭にタグの装着を成功させ、最長30時間の潜水行動データを得ることができた。小笠原父島沖では、3頭のクジラにタグの装着を成功させることができたが、タグの技術的な問題点から加速度計を含む2個のデータロガーの回収ができなかった。来年度にむけてさらに改良の必要が示された。両海域での基本的なプロファイルを解析したところ、熊野灘では、500-600m付近への比較的浅い潜水を繰り返しており、2000年に記録されたような1000mを超える潜水は行っていなかった。一方小笠原では、これまでのデータと同様に、日没後に潜水深度が浅くなる明瞭な日周性が見られた。ロガーの水温データを解析したところ、小笠原には400-500mに水温躍層が見られ、夜間マッコウクジラは躍層直下に集中して潜っていることが明らかとなった。おそらく小笠原ではマッコウクジラの餌生物が日周鉛直移動を行い、それが水温躍層に妨げられることによって、餌生物が夜間躍層直下に高密度分布するために、マッコウクジラはその深度に潜水しているものと考えられた。逆に熊野灘では、マッコウクジラの潜水深度に日周性が見られないことから、日周鉛直移動を行わない餌生物を捕食していることが推測された。またこの海域で年により潜水深度が大きく異なることは、黒潮流域と言う年間変動の大きな海洋環境に起因しているものと考えられた。
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