研究課題/領域番号 |
15570012
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
天野 雅男 東京大学, 海洋研究所, 助手 (50270905)
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研究分担者 |
宮崎 信之 東京大学, 海洋研究所, 教授 (40101464)
吉岡 基 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (30262992)
中原 史生 常磐大学, コミュニティ振興学部, 講師 (10326811)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | マッコウクジラ / 潜水行動 / 採餌生態 / ハクジラ類 / データロガー |
研究概要 |
三年間の研究機関の間に、和歌山県熊野灘沖で6頭、小笠原父島沖で7頭の計13頭に吸盤装着型データロガーを装着することに成功した。2000年にマッコウクジラを対象とする調査を開始して以来、総計18頭分のデータが得られた。これらのデータから、以下のような結果が得られた。小笠原ではマッコウクジラの潜水深度に明瞭な日周性が見られ、日没を境に潜水深度が800-1300mから400m程度へと急激に浅くなることが認められた。ロガーの水温データから、この海域には400m付近に亜熱帯モード水と深層水との境界の水温躍層があり、マッコウクジラは昼間はこの水温躍層以深に、夜間は躍層付近に潜っていることが明らかとなった。水塊の不連続が夜間、日周鉛直移動をする生物の分布の集中を引き起すために、マッコウクジラはこの深度に潜水するものと考えられる。一方、熊野灘では、明瞭な水温躍層はなく、生物の鉛直移動に起因する餌生物の分布集中が生じないために、日周性が見られないと考えられる。両海域では、餌生物を追尾(バースト)する方向やバーストの回数なども異なっており、異なる餌生物を捕獲していることが示唆された。また、マッコウクジラの潜降率と潜水深度に有意な相関が見られることから、彼らは潜水深度に応じて潜降する角度を変えていると考えられる。しかし、潜水開始から120秒までの潜降率は潜降深度と相関がほとんどみられず、むしろ前の潜水の浮上開始深度と相関があった。一方120-240秒の潜降率は、潜降深度と相関が見られた。このことから、マッコウクジラは、前の潜水で潜っていた深度に向けて潜降を開始するが、潜降途中から発し始める、エコロケーションクリックスの情報により、到達深度を調節していると考えられた。
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