研究概要 |
交付内定が秋だったため,本年度はデータ入力や既存のデータの解析手法の再検討を中心に行った. 本研究のデータでは,初めに決めたサンプル対象種について,さまざまな群集への出現の有無を繰り返し調べている.これは独立変数のデータがサンプル対象種の数だけに限定されていることになる.群集サンプルを増やした場合は,当該種の出現確率の推定は正確になるが,出現確率を予測するロジスティック回帰などによる尤度比検定でのモデル選択ではオーバーフィッティングが起きる.そのため,種レベルでランダムな再サンプリングを行うことによりモデルを構築する方法を考え,再現性の高い結果を得ることができた. 野外調査に関しては,近隣の千葉県・清澄山において繁殖特性のひとつである木本種の開花開始サイズ調査を行った.この調査では調査対象個体の位置を地図上にマッピングし,集水面積や日照など立地環境との関係も検定した.分類群により,ブナ科のスダジイ,アカガシ,ウラジロガシなどでは林冠木に達してから開花し始めるが,クスノキ科のシロダモやヤブニッケイでは林床の幼樹と見なされるほどのごく小個体から開花している.ツバキ科のヤブツバキ,サカキ,ヒサカキは亜高木として林冠下で開花するが,開花開始サイズは明瞭であった.ツツジ科のアセビは開花開始サイズが不明瞭であった.
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