研究概要 |
屋久島における耕作地,スギ植林地,照葉樹極相林などの植生を含む1km×1kmの調査地において植生調査データから調査対象種(雑草から高木種まで)を選定し,魚眼レンズを用いて多数の個体(樹木では幼樹)の光環境を調べることで耐陰性の推定を開始した. 植物群集は地形によっても異なるため地形の影響の評価を行った.そのために屋久島の地形データを購入し,地理情報システムを用いて地形解析を行った.また昨年清澄山で開花開始サイズを測定した木本植物について,開花個体と非開花個体の分布を地形(DEMからもとめた日射,集水面積,傾斜,など)から予測するモデルを作成した.集水面積が分布を決める上で重要な環境変数であり,7種は尾根のみで再生産を行っていて,4種は谷で再生産を行っており,3種では地形との対応がなかった.このモデルを用いてより広域の地形で分布を予測したところ,再生産を行わない非開花個体のみ分布する地域の面積は,再生産を行う本来の分布域の1.7倍(全種の平均)の広さであった.ひとつの地点で見ると,群集の種数の平均で41%は再生産を行わない種であった. この結果から,群集の組み立て規則を求める場合には,再生産を行わない種を区別して取り扱うことが必要であることがわかった.群集予測の基本は再生産を行う種のみによる群集の組み立て規則である.一方で外来種の侵入予測では再生産を行わない種(sporadic species)も含めた幅の広い予測モデルも必要である.
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