研究概要 |
屋久島の暖温帯下部における耕作地,スギ植林地,照葉樹極相林などの植生を含む1km×1kmの調査地において植生調査データから調査対象種(雑草から高木種まで)を選定し,魚眼レンズを用いて多数の個体(樹木では幼樹)の光環境を調べる方法での耐陰性の推定を終了した. 北海道の令温帯域北部における耕作地,スギ植林地,照葉樹極相林などの植生を含む1km×1kmの調査地において耐陰性の推定をほぼ終了した.また最大高の測定も草本種についてはほぼ完了した. 解析手法の開発に関して,東京都日野市(暖温帯上部)における調査データをもとに,地域の種プールから群集に参加する種が選択される組み立て規則を調べたところ,極相林から耕地雑草群集に至るいずれの群集(community)であっても単一のfunctional typeで群集が構成されていることが明らかになり,2006年3月に新潟市にて開催される極東アジア生態学会で発表する. 群集の組み立て規則は外来生物の侵入リスク評価に利用できるが,簡単な種特性データを用いた侵入リスク評価法はオーストラリアで開発されてWeed Risk Assessment(WRA)と呼ばれており,ニュージーランドやハワイでも有効性が調べられている.牧野標本館の加藤氏と共同で小笠原のWRAデータを解析し,(1)生態学的種特性もWRAに組み込まれているが実際には機能していず,過去の他地域の侵入実績で評価しているのみであることを明らかにし,(2)新しいリスク評価方法の構築方法を提案した.この研究結果は2006年6月にIUCNから出版予定の本である「Assessment and control of biological invasion risks」に掲載予定である.
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