研究概要 |
屋久島の暖温帯下部における耕作地,刈り取り草地,スギ植林地,照葉樹極相林などの植生を含む1km×1kmの調査地において,最大樹高や根萌芽などの種特性の測定を終え,群集の種組成調査を終えた.北海道の冷温帯域北部における耕作地刈り取り草地,カラマツ植林地,混交樹林などの植生を含む1km×1kmの調査地において最大樹高や根萌芽などの種特性の測定を終え,群集の種組成調査を終えた. 昨年度の研究結果から植物群集はただひとつのニッチからなっており,このため単純なロジスティック回帰を適用することができることが明らかになっていたので,屋久島と北海道の耕作地,刈り取り草地,植林地,極相林の4タイプの植生で組み立て規則をもとめ,既存の暖温帯上部(東京都日野市)のデータとあわせて検討した.その結果,フロラの異なる様々な気候帯で,群集タイプ(極相林,植林地,刈り取り草地,耕地雑草群集)ごとに大まかにはほぼ同じ組み立て規則が適用できることが明らかになった.ただし植林地などでは管理方法による多少の相違もありそうだ. 今後,この研究結果が外来種のリスク評価や地球温暖化後の植物群集予測などに応用されてゆくには,植物の生態特性のデータベースの公開が不可欠となる,研究代表者が立ち上げた「Plant trait database in east and south-east Asia(東アジア・東南アジア植物種特性データベース)」に,今回の研究プロジェクトで測定したデータを登録して公開した.
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