研究概要 |
・タチスズシロソウ(西日本の砂浜に分布し,各地で絶滅危惧となっている)の分布調査は、各地での絶滅により困難であったが,継続して調査を行なった。従来より確認していた滋賀県3集団,三重県1集団,富山県1集団に加えて、高知県において1集団を確認した。愛知県,愛媛県では絶滅した可能性が高い。 ・タチスズシロソウの最大集団である琵琶湖集団において、個体の空間分布パターンを明らかにした。複数の調査区を設け,季節消長を明らかにし,発芽時期と開花時期を特定した。 ・袋掛け・除雄実験を継続し、同種が自家和合で自動自家受粉が可能であり,自然条件下で高い結実率を示すことを明らかとした。アポミクシスによる種子形成はなかった。 ・備品として購入したファイトトロン(コイトトロンHNM-S)を使用した栽培実験を行なった。日長条件を制御した栽培実験で,各集団ともに複数家系を用いて遺伝的変異を定量するようにした。南方に位置する集団ほど開花反応におけるバーナリゼーション要求性が強く、バーナリゼーション要求性に関して,全ての集団で有意な遺伝分散が検出された。 ・兵庫県中部において,ハクサンハタザオのトライコームの多型集団を発見し,有毛・無毛個体の頻度を推定したところ,1:1であった。またその原因遺伝子の候補としてGL1遺伝子の配列を調べたところ,突然変異を起こして機能を失っていることが明らかとなった。
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