本研究の目的はエチレン生合成に関与するACCシンターゼのプロモーター領域に結合する転写調節因子を酵母one-hybrid法を用いて網羅的にクローニングして、それらの機能解析を行い、エチレン生合成の調節機構を解析することを目的にしている。ACCシンターゼは多重遺伝子族を形成しており、植物には8〜9種類のアイソ酵素が存在すると考えられている。それらの遺伝子が植物の生長過程で時期及び組織特異的に発現する。 メロンCMe-ACS2は、様々な外因性刺激に応答して発現が誘導される。本研究では、その発現調節機構を解明することを目的として、CMe-ACS2遺伝子の上流プロモーター領域中に存在するストレス応答性のDRE/CRT様シス配列(GCCGAC)に注目し、その配列に結合する転写調節因子の探索と機能解析を試みた。 酵母ワンハイブリッド法によりメロン成葉のcDNAライブラリーから、3種類の転写調節因子(CMe-DREB1、CMe-ERF1、CMe-ERF2)をクローニングして、ゲルシフト法、酵母ワンハイブリッドレポーター法によりシス配列への結合力と転写活性化能を定量した。さらにパーティクルガンを用いたメロン成葉における一過的発現実験により、in vivoにおける転写活性化力を定量した。またノーザン解析により、CMe-DREB1は傷害及びジャスモ酸、CMe-ERF1はエチレン、CMe-ERF2は塩ストレスやタンパク合成阻害剤などに応答して強く発現が誘導されることが分かった。これらの結果はこれらの転写調節因子がCMe-ACS2の発現調節に関与している可能性を示唆している。(日本植物生理学会16年度年会で発表)
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