クリプトクロムの機能と細胞内分布の相関を明らかにすることを目的として、当初の研究計画に従って下記の2つの視点から研究を進めた。 (1)蛋白工学的手法によるクリプトクロムの改変が生理学的活性に及ぼす影響 GFPのN-末端にNES(核外輸送配列)を付加すればGFPは細胞質に、GFPのN-末端にNLS(核内輸送配列)を付加すればGFPは核に局在するようになる。これを利用すれば、クリプトクロムの細胞内分布特性を制御することが可能になる。そこで、NES-GFPと、ならびに、NLS-GFPとイネクリプトクロム(OsCRY1)の融合タンパク質を生成するような組換え体を作製した。NES-GFP-OsCRY1、およびNLS-GFP-OsCRY1がそれぞれ細胞質、核に分布することを確認した。現在、このような組換え体が示す青色光下での光形態形成特性を調査中である。 (2)クリプトクロムのパートナー分子の機能解明 クリプトクロムに受容された青色光のシグナル伝達のメカニズムを明らかにすることを目指し、クリプトクロムと分子間相互作用を示すタンパク質(パートナー分子)の単離・同定を試みた。具体的にはOsCRYタンパク質をプローブにしてFar Western法によりイネcDNAライブラリーをスクリーニングしたが、いまだクリプトクロムのパートナー分子のcDNAクローンの単離には至っていない。
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