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光合成電子伝達系の光化学系1は多数のサブユニットとコファクターから構成される超分子複合体を形成する。その構造は結晶構造解析によりかなり詳細に明らかにされてきた。しかし、その分子集合の機構の解明は遅れている。私たちはすでに緑藻クラミドモナスの葉緑体遺伝子にコードされるYcf4が光化学系1複合体の分子集合に必須の因子であることを明らかにし、さらにこのタンパクが非常に大きな複合体の構成成分であることを報告した。したがって、この大きな複合体は光化学系1複合体の分子集合装置であると考えられる。本研究ではYcf4のC末端にタグを融合した形質転換体を作出し、そのチラコイド膜をドデシルマルトシドで可溶化したものを2段階のアフィニティクロマトグラフィーで精製し、得られた標品のポリペプチド組成を解析することに成功した。その結果、Ycf4複合体はその大きなサイズにもかかわらずポリペプチドは予想外に単純で、MASAP(Mitochondrial ATPsynthase associated protein)、レチナール結合もチーフを持つCop2タンパク、Ycf4、光化学系1複合体のサブユニットの一つであるPsaFが含まれることが分かった。得られた標品はPsaF以外の光化学系1サブユニットを含まないが、少量のクロロフィルが存在し、光化学系1複合体へのクロロフィルの供給の役割を果たしている可能性が考えられる。また、クラミドモナス野生株のチラコイド膜からもYcf4を含む分子集合装置を精製することに成功し、そこには分子集合途中と考えられる光化学系1反応中心タンパクが含まれていることが分かった。また、Cop2抗体を用いたウェスタン分析から、チラコイド膜に存在するCop2はすべてこの分子集合装置に存在することが示された。今後は、精製された分子集合装置の各サブユニットの役割を明らかにしていきたい。
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