研究課題
基盤研究(C)
1 光化学系1クロロフィルタンパク質からアンテナ機能を持つChl aを抽出し、その後、自然界ではこのタンパク質には結合していないChl b(Chl aの側鎖が酸化されたもの)、Chl aエピマー(Chl aの立体異性体)およびPhe a(Mgを持たないChl a)を再添加した。(1)Chl bは、Chl aと同程度の親和性を持ってChl a結合部位に結合し、Chl aと同等の集光性機能も持つことが示された。Chl aとともに加えることにより、Chl bからの光エネルギー伝達効率は更に向上した。Chl bの側鎖の違いはChl a結合部位への結合にほとんど影響しないと解釈された。(2)Chl aエピマーはChl aの約半分の親和性でChl a結合部位に結合し、集光性機能も示した。クロロフィル分子の立体配置の違いはChl a結合部位への結合に障害になっているが、結合したものはChl aと同等の集光性機能を持つことがわかった。(3)Phe aは、Chl aエピマーと同じく、約1/2の親和性で結合したが、集光性機能は殆ど示さなかった。Phe aはChl a結合部位ではなくタンパク質の表面に乱雑に結合しており、Phe a分子どうしが重合体となって結合する傾向が示された。中心金属であるMgはChl a結合部位への結合に必須であることが確かめられた。2 クロレラを高濃度亜鉛培地・暗所で生育させると、MgがZnに置換されたZn-Chlが形成され、全Chlの約30%に達することが明らかになった。このZn-Chlは光化学系1および2に組み込まれており、吸収した光エネルギーを効率よく光合成反応中心に伝達することがわかった。3 光化学系Iの電子受容体として働くフィロキノンを欠損したシロイズナズナ変異体ではP700が形成されておらず、光化学系I活性はないが、光化学系Iの長波長アンテナChlは存在していることが明らかになり、反応中心部のみが欠損した光化学系1を持つことが明らかになった。
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