研究概要 |
DNAマイクロアレイ解析の条件検討とその解析 Synechocystis sp. PCC6803をpH3-8で酸処理し、pH3、30分、1時間、2時間および4時間培養した細胞と、通常条件であるpH8で同時間培養したものとをDNAチップを用いて解析した。その結果、酸性環境下に発現増加する32遺伝子、抑制される29遺伝子を同定できた。 酸性ストレス特異的応答遺伝子欠損株の作出 上記研究で見出された、酸性ストレス特異的に誘導される32遺伝子のうち、より酸性ストレス特異的で、機能未知な遺伝子の欠損株を13株作成した。その中で、明らかに酸性ストレスに感受性が高くなり成長の阻害が認められた株が、4株見出された(下図参照)。4時間まで増加し続ける2つの機能未知遺伝子(sll0939,slr0967)は、浸透圧ストレス、塩ストレスによっても発現誘導されることが報告されており、直接酸性などのストレスに関係していることが強く示唆される。そこで、大腸菌のtrcプロモーターを用いた強発現系を構築中であり、さらに酵母two-hybrid systemによる解析およびhis-tagを導入した遺伝子の発現させることによる、相互作用する遺伝子群の探索、大腸菌による大量発現による抗体の作成、抗体による細胞内局在などの解析を進めている。また、これら酸性特異的遺伝子間の相互関係について各遺伝子欠損株を用いたリアルタイムPCRによる遺伝子解析をしたところ、slr096欠損株においてsll0939の発現が大きく低下していることが明らかとなり、sll0939はslr0967の支配を受けていることが明らかとなった。
|