研究概要 |
今まで,根粒、遺伝的腫瘍、クラウンゴールなど植物瘤状構造の形成と植物ホルモンとの関係の解析、同調分裂系を用いた細胞分裂過程と植物ホルモン量の変動との関係などについて解析してきた。しかし、生物検定や機器による分析では、分析に必要な試料採取の困難さから、瘤状構造形成時における植物ホルモン変動の時間的経過や空間的分布の変化の解析は、かなり大雑把なものとなっていることは否めない。本研究では、植物ホルモンに応答するプロモーターにGUSレポーター遺伝子をつないだコンストラクト(DR5-GUS)を用いることによって,瘤状構造形成時における植物ホルモンの時間的、空間的変動を詳細に解析することを目的とした。 本年度は以下の実験系でオーキシン量の動態に関して詳細な解析を行うために、形質転換植物材料を作成した。 (a)遺伝的腫瘍の腫瘍化-脱腫瘍(再分化)系:遺伝的腫瘍を形成するタバコF1植物(Nicotiana glauca x N.langsddrffii)の葉片にアグロバクテリウム法によりDR5-GUSを導入した。GUS活性、GUS染色ともにポジティブな細胞が得られたので、現在この形質転換株を用いて腫瘍化-脱腫瘍化系を構築しているところである。 (b)根粒形成系:形質転換が可能なミヤコグサを用いて、DR5-GUS形質転換ミヤコグサを作成した。再分化にも成功したので、種子を得るべく育成中である。 (c)同調分裂系:タバコXD6SにDR5-GUSを導入した。現在、BY-2種の芽生えにも導入中である。
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