研究概要 |
1.変異株を用いた解析 gek1変異の代謝への影響を、^<13>C,^<15>Nでラベルした植物を用いての多次元NMR測定により試みた。その結果、gek1変異株ではエタノール存在下で、野生株に比ベアミノ酸などの代謝が活性化していることが明らかとなった。また、マイクロアレー解析を行い、gek1変異株の生理的状態を発現遺伝子から推測することを試み、ストレス誘導性遺伝子の早い発現を確認された。 2.gek1抑制変異株の探索 gek1抑制変異を合計34ライン取得した。パレンタルグループの異なる複数の変異株を解析したが、現在までに、調べたものについてはすべてadh変異であった。今後、更に解析を進める。 3.GEK1と相互作用するタンパク質の探索 GEK1と相互作用するタンパク質を、酵母を用いたtwo-hybridシステムを用いて探索した。その結果、2つZn-finger蛋白(#20,#24)とNFU2と呼ばれる葉緑体に鉄硫黄クラスター形成に関与する因子(#76)を得ることに成功した。これらの遺伝子産物の細胞内局在や破壊株の表現型から、まだGEK1との関連については明らかではないが、これらの解析からGEK1の機能が推察できる可能性がある。 4.組換えGEK1蛋白質の解析 大腸菌で発現させたGEK1組換蛋白質または構造的に安定と考えられる好高熱菌P.horikosiiのGEK1類似遺伝子の組換蛋白質を用いて生化学的活性の同定を試みた。様々な条件でアセトアルデヒドの分解活性を調べたが見いだせなかったため、これらの蛋白質にこのような活性はないと考えられる。活性を同定する目的で、これらの蛋白質を^<13>C,^<15>Nラベル化植物の抽出物に混合し、NMR測定により代謝物のシグナル変化の検出を試みが、成功しなかった。
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