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2003 年度 実績報告書

授乳における心房性ナトリウム利尿ペプチドの生理的意義

研究課題

研究課題/領域番号 15570049
研究機関島根大学(医学部)

研究代表者

小林 裕太  島根大学, 総合科学研究支援センター, 助教授 (40162028)

研究分担者 権田 辰夫  島根大学, 総合科学研究支援センター, 助教授 (40116398)
キーワード心房性ナトリウム利尿ペプチド / オキシトシン / 乳腺 / 心房 / オキシトシン受容体 / ANP受容体 / VNP / マウス
研究概要

ICRマウスの妊娠期と授乳期における血中及び心房筋細胞中の心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の変化を調べた。妊娠後期(18日)に、非妊娠対照動物に比べ、心筋のANP顆粒の増加が透過型電子顕微鏡や免疫組織化学で観察された。顆粒は出産直後に非妊娠対照動物よりさらに減少し、授乳中に再び増加し、乳汁分泌最盛期である15目目にピークとなった。一方、ラジオイムノアッセイで測定した血中ANP値は、妊娠後期(18日)には低値、出産直後には非妊娠対照動物より上昇し、その後の授乳中さらに上昇して、授乳15日目にピークとなった。すなわち、妊娠後期には、ANPの分泌低下にともなう顆粒増加が起こり、出産で著明な分泌増加、顆粒減少が起こる。その後授乳中は分泌とともに合成も増加し、顆粒と血中値のいずれもが増加したと考えられる。
出産時並びに授乳中にはオキシトシン(OXT)分泌が起こることが知られ、ラット心筋ではOXT受容体が証明されている。一方、乳腺にANP受容体が証明されている。以上から、脳下垂体-心房-乳腺という新しいホルモン軸が示唆された。現在、ANP分泌増加に対するOXTの関与、さらにはANPの授乳における生理的役割について検討中である。
一方、ANPの機能に関しては、ANPファミリーペプチドの系統発生とその血管作用についても研究を進め、魚類起源のVNPがイヌ摘出冠血管輪状標本に強い血管弛緩作用を示すことを明らかにした。ANPは魚類レベルで一度分子拡散を示したペプチドであるが、今回の仮説のように、ほ乳類に至って、乳腺というほ乳類のみに発達した器官の調節因子として新たな機能を獲得したと考えられ、ホルモンとその受容体系の進化を考える上でも興味深い。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 李頌華, 王如偉, 田丸直美, 都仁哉, 岩崎純夫, 小林裕太, 奥西秀樹: "アトピー性皮膚炎94症例における新中医薬処方「複方苦参」の治療効果"炎症・再生. 24・1. 55-59 (2004)

  • [文献書誌] Kawakoshi, A., Hyodo, S., Inoue, K., Kobayashi, Y., Takei: "Four natriuretic peptides(ANP, BNP, VNP and CNP)coexist in the sturgeon : Identification of BNP in fish lineage"Journal of Molecular endocrinology. 32・2(印刷中). (2004)

  • [文献書誌] Y.Kobayashi, H.Mifune, Y.Liu, S.Suzuki: "Changes of A-type atrial natriuretic peptide during lactation in mice"Proceedings of fifth congress of the Asia and Oceania society for. (印刷中). (2004)

  • [文献書誌] 小林裕太: "アミノ酪酸-血液・尿及び脳脊髄液試料"広範囲血液・尿化学検査、免疫学的検査-その数値をどう読むか 5-1 日本臨床(増刊). 62(増刊)(印刷中). (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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